こんにちは。部活カウンセラー未来です。
今回は、部活のメンタルづくりに役立つ話です。
部活生のみなさんは、「悩みごと」があるとき、どんなふうに悩んだり、解決したりしていますか?
また悩んだときは、どのような状態になりますか?
できれば、悩みはないほうが良いと思われがちですが、実は悩むこと自体は悪いことではなく、むしろ健全で自然なことなんです。
なぜなら、悩む、ということは「今より良くなりたい」という気持ちの表れで、成長意欲、改善意欲、解決意欲があるから悩むわけですね。
では何が問題かというと、「悩み方」にあります。
悩み方には、良い悩み方と、悪い悩み方の2つが存在します。
ということで、今回は「悩み」とはいったい何か。
良い悩み方、悪い悩み方についてご紹介します。
悩み下手な人は、悩み上手になって、良い悩み方ができるようになりましょう!
悩みとは
はじめに「悩みとは」何かについて、お話ししたいと思います。
悩みとは、
・自分の思い通りにならないこと
・理想と現実にギャップがあること
を示します。
例えば、
理想:「部活を辞めたい」と思っているけれど、
現実:辞めると言い出せずにいる
このように、理想と現実にギャップがあると、悩むという心理状態になります。
何かしらの不安を感じていたり、問題が起こっていたりするけれど、その解決方法においては、
「どうすればいいか、自分では思いつかない」
「方法はわかっていても、決断できない」
「自分ではどうしようもないことだと分かっていても頭から離れない」
このように考えていて、苦しんでいる状態が「悩む」ということです。
悩んでいるときの特徴
本来は、誰でも自分で考えたり、判断したり、問題を解決したりする力をもっています。
けれども、悩んでいるときや、ひどく落ち込んでいるとき、混乱しているときは、エネルギーが落ちているので、考える力、判断力、答えを見つけ出す力が、一時的に落ちてしまっています。
部活生のみなさんも経験があると思いますが、空腹でエネルギーが落ちてるときや、悩みがあって心が弱っているときは、問題に向き合う力が湧いてきませんよね。
悩んでいるときは客観的に物事を見ることができないので、自己肯定感がしぼんでしまい、自己評価が低くなり、自分を責めたり、否定的に見てしまいがちです。
この「悩む」という状態が長く続くと、「悩みを引きずる」状態になります。
悩みを引きずっているときは、心が不安定になっていて冷静になれず、解決するためにどうすればいいか考えられなくなっています。
このような状態のときに、無理に考えたり、判断したり、解決しようとすると、良い判断ができません。
また落ち込んでいるときはネガティブ思考に陥りがちなので、普段なら気にならない、他人の何気ない一言や、些細な態度に傷つきやすくなります。
悪い悩み方とは
冒頭でもお伝えした通り、悩むこと自体は、自然なことで悪いことではありません。
大事なのは、「悪い悩み方」をしないことです。
ここでは、悪い悩み方の例をご紹介します。
問題や悩みを「見ないふり」「気分転換」でごまかす
部活生のみなさんも、本当は悩んでいるのに「気にしないふり」をしたり、人から「気にするな」と言われたりしたことがあるのではないでしょうか。
あるいは、悩みがあっても考えることから逃げ出すために、楽しいことで「気分転換」し、一時的に悩みを頭の中から消し去る人もいるかもしれません。
このように、見ないふりや、気分転換で悩みから遠ざかる方法は、少し時間が経てば解決する悩みであれば効果的です。
例えば、親から小言をいわれ、ムカついたので、スルーしたり、ゲームで気分転換をしたり、このような悩みであれば、見ないふり、気分転換という方法でもOKです。
しかし、部内でイジメにあっている、指導者から暴力を受けている、部活を辞めたいとずっと悩んでいる、というときには、見ないふりや一時的な逃避では、根本的な悩みの解決にはなりません。
悩みから抜け出すための一時的な逃避が、薬物依存や、他人への攻撃、暴飲暴食など、自傷行為など、よくない一時しのぎの方法に向かってしまう危険性もあります。
問題や悩みを受入れ「許容」してしまう
部活生のみなさんは、「頑張らなくていい」「今のままでいい」といわれたら、どのような気持ちになりますか?
この言葉は、一見、今の自分を「受け入れてもらっている」ように思えますが、もし、あなたが、もっと強くなりたい、上手くなりたい、レギュラーになりたい、そう思って悩んでいるとき、「今のままでいい」と言われたら、なんだか見放されたような気持ちにならないでしょうか。
このように悩みを「許容」すること、誰かに「許容」されることで、逆にやる気が失われることもあるのです。
また、現実を受け入れても、悩みは解決することはないので、「悩みを引きずる」という、心身にとってもっとも悪影響な状態になってしまいかねません。
物事や自分の「悪い面」ばかりに目を向ける
起こった出来事の悪い面、他人の悪い面、自分のマイナス面にばかり目を向けるのも、悩み下手の人の特徴です。
「ダメな自分も受入れよう」などと言われてもできませんし、する必要もありません。ダメな自分を好きになんて、なれないのが当たり前です。
だからといって、
「自分は、人と仲良くするのが苦手で、できない」
「努力が続かない、根気がない」
「人より、物覚えが悪い、練習しても上手にできない」
このように、自分に足りない部分ばかりを気にすればするほど、元気を失ってしまい、むしろ自分を嫌いになってしまいます。
他人の目や出来事も同様に、事実ではない、自分の思い込みで、悪いほう、悪いほうに考えると、悩みは実際よりもどんどん大きくなってしまいます。
このような悩み方が、やってはいけない、悪い悩み方です。
悩みから抜け出す方法
悩んでいるときには考える力が落ちたり、周囲の言葉にも敏感で傷つきやすくなりがちですが、これらは一時的なものなので、悩みと距離をとったり、捉え方を変えたり、少し時間を置くことで、必ず心は回復します。
なので、悩みから抜け出すには、まず心の安定を取り戻すことが必要です。
心が安定して初めて、冷静に幅広い視点から物事を考えられるようになり、問題解決のための有効な対策を思いついたり、適切な判断ができるようになります。
1.まず自分が悩んでいる状態であることに気づくこと
2.心を安定させ、エネルギーを回復し冷静になること
3.そのうえで、様々な角度から有効な対策を講じること
このように、まずは自分が悩んでいることに気づくことが、始めの1歩になります。
とくに、ショックな出来事が起こったばかりのとき、突発的に起こったトラブルなどは、気が動転している状態なので、少し時間を置いて、まずは冷静になるのを待つことが大切です。
次に、心が落ち着いた状態に戻ったら、スルーしたり、気分転換したりすれば、解決するような問題なら、自分に合った気分転換の方法で、悩みから離れるようにしましょう。
そして、一時的な現実逃避では解決しないような悩みであれば、しっかりと向き合うようにしましょう。
向き合うときには、
×自分ではコントロールできない悩み
〇自分でコントロールできる悩み
に分類し、「×自分ではコントロールできない悩み」に分類したものは、「考えてもムダ」ということを、何度も自分自身に言い聞かせて、このような悩みにエネルギーを費やさないように心がけることが大切です。
コントロール不可能な悩みの場合は、「マイナス面」もあるけれど、「プラス面」もあるな、と「マイナス面」+「プラス面」、両面に目を向けて、解決済みフォルダーに入れると効果的です。
例えば、
マイナス面:「メンバーから外された」ことで、
プラス面:「外から客観的に試合を見ることができ、今まで気づけなかったことに気づけた」
というような感じです。
最後に、この世の中には、「悩みが1つもない」という人は、いないはずです。大なり小なり、複数の悩みを抱えて生きているのが、自然な状態。
なので、とくに日常生活に支障が少ない「小さな悩みごと」は、無理に解決しようとせずに「共存しよう」というのが、私の提案です。
例えば、「今度の大会で負けたらどうしよう」「ミスしたらどうしよう」などの悩みは、部活をやっていたら常に付きまとう悩みですよね。
このような悩みは、「部活生なら誰でも感じている悩み!」「結果は、誰にもコントロールできないし、わからない」と割り切って、浮かんで来ても、気にせず、そのままにしておくとよいのではないでしょうか。
以上、今回は「悩むことは悪いことではない」「悪い悩み方がある」というお話でした。
ぜひ参考にしてみてください。