こんにちは。部活カウンセラー未来です。
今回は、部活のメンタルづくりに役立つ話です。
部活生のみなさんのエネルギーを最も奪ってしまう要因は、感情のムダ使いです。
例えば、嫌なことが起こるたびに「あいつのせいで気分を害された」とか、「あの監督はいつも自分にばかり厳しい」など、私たちはつい、問題の要因が他人にあると考えがちですが、実は、感情は、自分がどう捉えたか、考えたかで生まれるものなのです。
つまり、自分の悪い捉え方しだいで、良い感情、悪い感情、どちらの感情が生まれるかが決まります。
そこで今回は、偏った思考のクセ『認知のゆがみ』と呼ばれる心理について紹介します。
自分自身の認知のゆがみに気づき、それを正すことで、不快な感情を減らすことができます。今回はだ表的な10個の認知のゆがみを紹介しますので、ぜひ自分の認知のゆがみをセルフチェックしてみてください。
代表的な『認知のゆがみ』10個とは
認知のゆがみは、大なり小なり、誰もがいくつかは持っていると言われます。今回はたくさんある認知のゆがみの中から代表的な10個を紹介します。
- 白黒思考
- 一般化のしすぎ
- 心のフィルター
- マイナス化思考
- 結論の飛躍
- 拡大解釈/過小評価
- 感情的決めつけ
- すべき思考
- レッテル貼り
- 個人か
①白黒思考
白黒思考とは、物ごとを白か黒かで捉える、極端な考え方のことです。
例えば、自分や他人を「完璧だ」とか「全くダメだ」というように、物ごとを「白か黒か」「全てか無いか」といった単純な二択で捉えます。
白黒思考の人は一度の失敗や不成功をもとに、全ての状況に対し結論を出し、一度の失敗で「自分は何をやっても上手くいかない」と決めつけたりします。この認知のゆがみを持っている人は完璧主義者が多く、思考に柔軟性がないので、小さなミスも許せない傾向があります。
またこの認知のゆがみがあると、事物や状況を極端に評価するため、小さな問題や失敗にも大きなストレスや不安を感じやすくなり、何かが「完璧でない」と感じると、過度の不安や緊張が生じ、日常生活に支障をきたすことがあります。
例:「完璧でないなら、やる意味がない」
②一般化のしすぎ
一般化のしすぎとは、一度の良くない出来事を「いつもそうだ」と一般化する考え方です。
例えば、一度の失敗から「私は何をやってもダメな人間だ」と決めつけたり、一人の友達との口論から「友達はみんな裏切る」と一般的な結論を導くことがあります。
この認知のゆがみがあると、個別の状況や例外を無視して、広範囲に一般化してしまうため、正確な判断や評価が難しくなります。
過去の経験から導き出した一般的な信念を全く別の新しい状況にも適用しようとするので、過去の経験に縛られることがあり、成長や変化の機会を逃す可能性があります。例えば、飛行機で乗り物酔いを一度体験したことから、「どんな交通機関にも乗ることはできない」と不安を感じてしまいます。
例:「私はいつも、大事な時にミスをする」
③心のフィルター
心のフィルターとは、1つの面ばかりに目を向け、悪く解釈する考え方です。
例えば、友達から返信がないと、「自分を無視した」と特定の傾向やバイアスが働いて、実際には友人がただ忙しかったかもしれない可能性を無視し、悪い解釈をしてしまいます。
この認知のゆがみをもつ人は、特定の1つの情報だけをフィルターを通して選び、他の情報を無視する傾向があります。特定のある友達が自分に対して批判的なことを言ったとき、その一言だけを覚えて、その友達が、いつも自分を褒めてくれることは忘れ、特定の情報を選んで、他の情報を見逃してしまいます。
例:あの人は、嫌なことばかり言う
④マイナス化思考
マイナス化思考は、良いことや何でもないことまでも、悪いことにすり替えてしまう考え方です。
例えば、友達との小さな口論があった場合、それで友達関係が終わったと思い込んでしまうことがあります。
この認知のゆがみをもつ人は、失敗を避けるために新しいことに挑戦しようとしない傾向があり、成功する可能性よりも失敗のリスクを強調し、新しいことにチャレンジすることを避けようとします。
また未来に対する漠然とした不安を抱え、将来の不確実性や困難な出来事に対して過剰に心配し、その不安が日常生活に影響を及ぼすことがあります。
例:褒められても「嫌味を言われた」
⑤結論の飛躍
結論の飛躍とは、事実ではないことを、悲観的な結論に結びつける考え方です。
例えば、テストの1問目が難しいと感じたことから、「もうこのテストでいい点は絶対に取れない」と結論図けてしまいます。
事実や根拠に基づかずいておらず、推測や仮定だけで悲観的な結論を導く認知のゆがみで、他人の心の読み過ぎや、誤った先読みをする傾向があります。ちょっとしたことから、悲観的な結論を即座に導き出すので、さまざまな物ごとに対して諦めが早くなります。
例:レギュラーになれたなかったので「サッカーは、自分には向かない」
⑥拡大解釈/過小評価
拡大解釈/過小評価とは、悪い面は大げさに捉え、良いことは過小評価する考え方です。
拡大解釈は、物事を大げさに見る思考のクセで、小さな問題や失敗を実際よりもずっと大きな問題として考えがちです。例えば、小さなミスをしたときに、それを致命的な失敗と考えたり、他人からの批判を過度に重要視したりすることがあります。
過小評価は、自分自身や自分の能力を過小評価する思考のクセで、自分の成功を運や他人のおかげだと思いがちです。
例えば、良い成果を上げたときに、それを自分の能力ではなく、幸運や他人のサポートに帰せず、自分の力を過小評価することがあります。
例:試験で高得点を取れたのは、運が良かっただけ
⑦感情的決めつけ
感情的決めつけとは、物ごとを理性ではなく、感情で決めつける考え方です。
例えば、自分の怒りの感情が高まると、他人の行動を攻撃的に解釈しやすくなります。誰か部活に遅刻してきた場合、それを意図的なものと考えたりします。感情的決めつけでは、客観的な事実や証拠を無視し、感情や主観的な意見に基づいて判断を下します。
不安や疑念が高まると、他人の行動を過度に警戒し、否定的に解釈しやすくなります。例えば、友達が電話に出ないと不安を感じ、嫌われているのかもと疑いがちです。
例:不安な気持ちから「自分の人生を絶望的に感じる」
⑧すべき思考
すべき思考とは、「〇〇すべき」「〇〇すべきではない」という考え方です。
例えば、「部活は休まず必ず行くべき」とか「顧問の言うことは絶対だ」といった考え方をする傾向があります。
「すべき思考」は自分に対しでだけでなく、他人にも適用され、「〇〇すべき」という自分の考えを同じように他人にも求めます。それによって他人に対する過度のプレッシャーを生むことがあります。
この認知のゆがみがあると、考え方に柔軟性がなくなり、自分の考えに過度に固執してしまい、その結果として、ストレスや焦りを感じやすくなります。
「すべき思考」に基づいて目標を達成しても、その達成感は一時的で続かないため、すぐにまた新たな「すべきこと」に焦点を移すことが多いようです。
例:「顧問の言うことは絶対だ」
⑨レッテル貼り
レッテル貼りとは、人や物ごとに、極端なレッテルを貼る考え方です。
レッテル貼りは、自分に対して貼る場合と、他人に対して貼る場合の2つがあり、例えば、自分に対しては「私は、人から好かれない人間だ」などとレッテルを貼ります。他人に対しては、ある一面だけを見て「あの人は、〇〇な人だ」というレッテルを貼ります。
レッテル貼りをする人は、一度自分や他人にラベルを貼ったら、そのラベルに基づいて個人やグループに対する偏見を持ちやすくなり、これは客観的な評価を妨げ、不公平な判断を導く結果につながります。
例:「自分は、〇〇な人」「あの人は、〇〇な人」
⑩個人化
個人化とは、良くない出来事を根拠なく、自分のせいにする考え方です。
例えば、下級生が部活を辞めた時、「もっと私が親身に面倒を見なかったからだ。彼女が辞めたのは私のせいだ」など、全く関係がないことを自分個人に結び付けて考えてしまいます。
スポーツの勝敗は、誰か一人のプレーだけで決まることは決してありませんが、「試合に負けたのは私のせいだ。私のプレーが最悪だったからだ」などと、根拠なく自分のせいにしがちです。
自分を責める傾向が強く、自己評価が低下し、過度な自己非難やストレスを引き起こす可能性があります。
例:「試合に負けたのは私のせいだ」
以上、今回は、代表的な『認知のゆがみ』と呼ばれるものを10個紹介しました。
部活生のみなさんは、いくつ、当てはまる認知のゆがみがありましたか?認知のゆがみ自体は、誰でも持っていることで、持っているのはダメ、ということではありません。
ただし、物ごとを歪んでみる思考のクセにより、自分自身で「不快な感情」を生み出しているので、本来は必要のない負の感情に、エネルギーを奪われてしまいます。
ぜひ、自分のゆがみに気づくことで、感情のムダ使いを減らしていきましょう。